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「パスタを囲むジャーナル」

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クラフトパスタソース専門店がお送りする

日常の食卓にコクを出すためのジャーナル。

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こんにちは!クラフトパスタソース専門店「パスタソースキッチン」スーシェフのヨスエです。

 

 

パスタソースキッチンは、創業2012年の三重県松阪市にあるクラフトパスタソースブランドです。

コンクールで受賞したパスタ「特産松阪牛の煮込まない煮込みパスタ」を始め、地元ならではの食材とイタリア食材を使い、手作り完全無添加でイタリア本場のパスタソースをお作りしています。

1000坪の庭で2匹のヤギとハーブから自家製で作ったパスタソースは、伊勢丹新宿をはじめとした全国の百貨店、JALファーストクラスグルメ等でも採用されています。

 

鮮やかな緑色が目を引くジェノベーゼ。北イタリア発祥の有名なパスタです。
今回はジェノベーゼに使う代表的な具材から、バジルの魅力、そしてバジルの香りを最大限に楽しむためのイタリア人の工夫まで、ご紹介していきます!

 

 

ジェノベーゼとは?

正式名称は「ペスト・ジェノベーゼ」

ジェノベーゼとは、イタリア語で「ジェノバ風」という意味で、北部のリグーリア州にある都市、ジェノバが由来です。
バジルから作られた、爽やかな緑のソースをイメージする人が多いと思います。
しかし!この緑のソースは「ペスト・ジェノベーゼ」、つまり「ジェノベーゼ風のペースト」が正式な名称になります。
本場イタリアで「ジェノベーゼ」といえば、牛肉と香味野菜をトマトとワインで煮込んだ茶色いパスタを指します。イタリアで「ジェノベーゼください!」と注文したら、まず間違いなく茶色いソースが出てくるそう。(笑)イタリアに行った時には「ペスト」を忘れずに!



材料はたったの7つだけ!

強烈なアロマが鼻に抜けるペスト・ジェノベーゼ。

その材料はシンプルに7つだけです。だからこそ、素材選びも重要です!
1.バジル(バジリコ)
イタリア料理には欠かせないハーブ。日本ではスイートバジルがよく使われる。
2.松の実
イタリア語で「Pinoli(ピノーリ)」。松ぼっくりから取れる種で、栄養素もたっぷり。
3.パルミジャーノ・レッジャーノ
「イタリアチーズの王様」と呼ばれる、ハードチーズの最高峰。
4.ペコリーノ
羊乳が原料で、独特の風味と塩気がやや強いのが特徴。イタリア最古のチーズ。
5.ニンニク
美味しさを引き立たせる陰の立役者。強すぎず、弱すぎずのバランスが難しい。
6.塩
イタリアでは塩といえば海塩。ミネラルが豊富でほんのりした甘味がある。
7.オリーブオイル
発祥地、南イタリアのエクストラバージンオリーブオイルがおすすめ。

 

 

実にイタリアらしいイタリア料理

「イタリアにイタリア料理はない、あるのは郷土料理の集合体だ。」と言われているのを知っていますか?小さな都市国家が1861年に統合されてイタリアという国になったという歴史的背景から、各州に根付いた郷土料理がたくさんあり、イタリア人は自分の地域に愛着を持っています。
だからこそ、非常にシンプルでありながら、その土地の素材の味わいや新鮮な香りをストレートに活かしたペスト・ジェノベーゼは、実にイタリアらしいイタリア料理。

松阪牛のように指定の産地や地域、栽培方法などを定めたD.O.P(原産地保護呼称)認証というものがイタリアにはあり、ワインやチーズ、オイルなどでよく見かけます。
その中で、リグーリア州では、バジルでD.O.P認証をとっています。
ペスト・ジェノベーゼがいかに愛されている郷土料理かが分かりますね!

手作りのペスト・ジェノベーゼ▶︎

 

 

 

ジェノベーゼに合わせる具材とは?

外しちゃいけない、じゃがいもといんげん

 

伝統的でクラシカルな組み合わせといえば「じゃがいもといんげん」です。
元々は貧しいイタリア人が、安価なじゃがいもといんげんでボリュームを出すために入れた、というのが由来のようですが、結果として理にかなったベストな組み合わせ。
塩分が程よく効いてほんのり甘味のあるじゃがいもといんげんが、バジルの香りをまろやかにして麺とのバランスを整えてくれるんです!
本場イタリア人からすると、この2つの具なしにはジェノベーゼは語れないほど重要です。


肉や魚にも合う万能ソース 


この伝統的な具材以外で、ジェノベーゼに合う具材についてですが・・・、
正直にいうと何でも合います!笑
魚介から肉、野菜やチーズまで、何にでも使える万能なソースです。
むしろジェノベーゼに合わない具材を考える方が難しいくらい・・・?
その時の旬に合わせたトッピングを追加してみるのも、楽しみ方の一つですね!

 

 

バジルの魅力に迫る!


ジェノベーゼに使うバジルとは?


ひとことで「バジル」と言っても、その種類は150以上もあります。
イタリアンのイメージが強いですが、タイ料理に使われるホーリーバジルやタイバジル、このほかレモンバジルやシナモンバジルなど幅広く料理に使われています。
その中でも、ジェノベーゼに向いているバジルを4種類ご紹介します!

 

1.スイートバジル


育てやすく、日本で最も流通しているバジルで、意外にも原産はインド。甘い香りを持ち、イタリアンでもよく使われています。


2.ジェノベーゼバジル(ジェノバ・バジル)


イタリア原産のハーブで、名前にも付いているようにジェノベーゼ作りに適したバジルです。花が咲くと葉が固くなり風味が落ちますが、開花後も落ちないと言われています。


3.ブッシュバジル


葉っぱが1cmほどの小さいバジルで、香りはスイートバジルよりやや強いです。小さいサイズを活かしてそのまま飾り付けにもよく使われます。


4.バジリコ・ナーノ


南イタリアに定着した品種。ブッシュバジルのように葉が小さいのが特徴。スイートバジルより、香りはややスパイシー。

 


バジルの天敵はハサミ?


よく「バジルは金気(かねけ)を嫌う」と言います。金属と酸が反応して香りの成分が酸化し、本来のバジルの風味が失われたり、香りが変質してしまうためです。
ジェノベーゼには葉の部分のみを使うので、収穫したバジルから葉だけを摘みますが、私たちは「ハサミ」ではなく必ず「手」を使います。そう、金属のハサミは香りの天敵だったのです!
(その代わりに摘み終わると指先は緑を超えて黒くなってます。笑)

 

 

香りを逃さないために。

最高のジェノベーゼを作るためには「香り」を守ることが必要不可欠。
せっかく金属を避けても擦りつぶすときに出る熱で香りが悪くなるため、冷やしたままにすることが大事です。
そのためにも材料のオリーブオイルは冷蔵庫でしっかり冷やしておきますが、それだけでは足りません!容器から道具まで、とにかく全てを冷やすんです!
これにより鮮やかな緑を残しつつ、バジルやオリーブオイルの香りを逃すことなく味わえます。

 

「アツアツ」よりも「ぬるい」が美味しい!

イタリア人は猫舌が多い

 

イタリア人には猫舌が多いって知っていますか?イタリアに住んで驚いたことあるあるのようです。
というのもイタリア人はアツアツなものを食べるという習慣がないんです。むしろ「ぬるい」状態で食べる方が馴染み深く、ぬるい方が食べる適温だ、とすら思っています。

 

 


「ティエピド」で味も香りも楽しもう!

この「ぬるい」は「ティエピド(Tiepido)」といい、素材本来の味や香りを最も感じることができると考えられています。
ジェノベーゼも、冷やしたバジルのペーストとアツアツに茹でたパスタをあえるので、アツアツではなくティエピドに仕上がりますね!
香りを楽しむために計算し尽くされたペスト・ジェノベーゼ。イタリア人の知恵は本当に奥が深いです。

 


●まとめ

日本でも有名なパスタの1つ「ペスト・ジェノベーゼ」は、イタリア人の郷土料理への愛情深さや素材を楽しむための工夫が伝わる料理でしたね。
バジルは比較的お家でも育てやすいハーブです。皆さんも、自分で育てたバジルでジェノベーゼ作りに挑戦してみませんか?

 

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