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「パスタを囲むジャーナル」

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クラフトパスタソース専門店がお送りする

日常の食卓にコクを出すためのジャーナル。

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皆さんはポルチーニ茸って知っていますか?
イタリアで愛される香り豊かなポルチーニは、秋の味覚の風物詩。
日本人が松茸を大好きなように、イタリア人もポルチーニ茸が大好き。
皆さんもポルチーニに魅了されること間違いなし!

 

 

 

ポルチーニとは

世界3大キノコの1つ

トリュフ・松茸と並んで世界3大キノコの1つで、「キノコの王様」と呼ばれています。
ぷっくり膨らんだ可愛らしい見た目が小豚のようだ、ということで小豚の複数形「ポルチーニ(porcini)」と名付けられたそう。
イタリアをはじめ、フランスやドイツなど、ヨーロッパで幅広く愛されるキノコです。


高級食材と呼ばれる理由

 

 

実はスーパーなどでも乾燥は手に入れることができます・・・が、入っている量も少ない上に価格も高く、高級食材と呼ばれています。
なぜなら、100%が天然採取から作られているからです!松茸やトリュフと同じく人工栽培に成功しておらず、プロのポルチーニハンターたちの手によって収穫されています。また、採取できる時期も年9ヶ月、雨などの気候にも左右されるため、貴重な食材となっています。


日本にもポルチーニがある?!

一言でポルチーニと言っても、実は細かく何種類もありますが、基本的にはヤマドリタケという品種を指します。
このヤマドリダケ、実はヨーロッパに限らず中国や日本でも収穫できます。
日本ではヤマドリタケの近縁種のヤマドリタケモドキやムラサキヤマドリダケが比較的収穫しやすいですが、欧州の本物のポルチーニ(ヤマドリタケ)と比べてしまうと味も香りも歯応えも劣るようで・・・。一部地域ではヤマドリタケも採れますが、天然で扱いも難しく、商品として流通にまわることは、ほぼありません。


ポルチーニってどんな味?

 

ポルチーニってどんな香り?どんな味?

 

ポルチーニは木の香りや、ナッツのような風味とも呼ばれ、独特の濃厚な風味を持っています。香りも松茸と並び、非常に芳醇。食感も肉厚で肉のようと例えられたりします。
生のポルチーニは収穫シーズンであれば空輸で手に入る場合もありますが、基本は乾燥、そのほか、生のまま冷凍されたものもあります。
一方で、乾燥ポルチーニは広く流通しており、今ではスーパーなどでも簡単に手に入れることができます。


天然ゆえの注意点


ポルチーニに限らず、キノコは香りが命!そのため水で洗い流したりするのは厳禁です!
ポルチーニは天然ゆえに虫食いや砂、虫の汚れが付着しています。虫がついてるのは美味しい証拠なんて言われたり。商品にするために現地の加工工場ではナイフで削り落としたり、軸を割いて内部を確認していますが、どうしても細かい砂などは残ってしまうため、乾燥ポルチーニはお湯で戻してふやかし、砂を落としてから使うのが一般的です。

 


乾燥ポルチーニの下処理方法

ヒタヒタになるくらいのぬるま湯に20〜30分ほど浸します。
この時に軽くかき混ぜると底に付着している砂が落ちやすくなります。
戻し終わったらポルチーニを取り出しますが、余った汁は捨ててはいけません!
この戻し汁にこそ、凝縮された旨みが詰まっているのです。
底の方に沈んだ砂はそのままに、こしたりして上の綺麗な部分だけを使いましょう!
ちなみに、必ず熱湯を使わずにぬるま湯にしてから使ってください。熱湯を注いでしまうと、えぐみが出てしまうことがあります。


ポルチーニはイタリア人の秋の楽しみ

ポルチーニの村「ボルゴターロ」

イタリア各地でポルチーニは採取することができます。
中でも有名なのは、イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州にある、ボルゴターロ(Borgotaro)という村です。
ここは古くからポルチーニの産地として知られており、とにかく一級品のポルチーニ茸が採れます。その証拠として、ヨーロッパで唯一、IGP(特定保護地域産物)にボルゴターロのポルチーニが選ばれています。
日本にもポルチーニ茸があるように、色々な種類があると説明しましたが、このボルゴターロのIGPとして認められている品種は4つあります。


1.Boletus edulis (エデュリス):


主に夏から秋にかけて。最も一般的に見られるポルチーニ茸で、秋の雨季に良く成長します。 豊かでクリーミーな味わいを持ち、深いウッディな香りがあります。肉厚であり、調理すると食感が強調されます。



2.Boletus aereus (エアリウス):


エデュリスと同様に夏から秋にかけて収穫されます。エデュリスに似ていますが、より濃厚で風味があり、若干ビターな要素があります。エデュリスよりも個性的な味わいがあります。



3.Boletus pinophilus (ピノフィルス):


一般的に夏から秋にかけて、ピノフィルスはエデュリスよりも若干早く成熟します。味はエデュリスに似ていますが、やや淡白で穏やかな風味があります。


4.Boletus aestivalis (エスティバリス):


エデュリスやエアリウスとは異なり、夏に収穫されるため、サマーポルチーニとも呼ばれます。柔らかくて風味豊かな味わいがありますが、他のポルチーニよりも穏やかです。茶色の帽子と白い茎が特徴です。

収穫時期入りたての夏、秋が深まってから冬にかけて、それぞれで味わいが変わってくるのも天然物ならではの面白さですね!


秋限定の「ポルチーニ祭り」

ボルゴターロが有名な理由の1つに、9月に開催される「ポルチーニ祭り」というものがあります。
制限時間内にどれだけ多く、重量があって形のいいポルチーニが収穫できるかを競います。
そのほかにも、屋台が出たり、乾燥のポルチーニが大量に売られていたりして賑やかです。しかも採れたてのポルチーニも買うことができるそう。生ポルチーニを採れたてでゲットできるなんて、最高ですね!


イタリア人はキノコ狩り大好き!

イタリアでは、シーズンになるとキノコ狩りをレジャーとして楽しむ人がたくさんいます。ボルゴターロ村もキノコ狩りが楽しめる有名な場所ですが、誰でも自由に立ち入りできるわけではありません。実はキノコ狩りをするには各地域で許可チケットを買わないといけません。チケットを買わずに採取したことが発見された場合には、罰金の支払いが義務付けられているんです!さらに収穫していいキノコの重さも決まっていて、これを無視するとまた罰金です。


みんなで守ろう天然ポルチーニ!

許可証が必要なキノコ狩りですが、実際はルールを守らない採取者も多く、現地の人も管理しきれないというのが大きな課題となっているようです。
実はこのキノコ狩りのチケット収入は一部、森林整備に回されています。
天然だからこそ、貴重な資源を保護していかなければと、みんなで守り続けているんですね!


●まとめ


イタリアンではよく見かけるポルチーニですが、その正体は現地の人たちが大切に守り続けてきたキノコでした。大切にしたくなるくらい、その香りと美味しさは感動的です!
意外と身近なところでも手に入る高級食材、ポルチーニ。その香りを自宅でもぜひ感じてみてください。

 

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